化石という言葉を聞いたことがない人はほとんどいないでしょうし、それが昔いた生き物の遺物であることはご存知かと思います。でも化石って何なのか、科学的に理解している人は少ないのではないでしょうか。
「石に」「化ける」と書いて「カセキ」
化石とは、大昔の生き物の骨や殻など、体の硬い部分が(条件がよければ柔らかい部分が残ることもあります)、地中に埋まっている間に、周りの成分(つまり石や砂をつくる鉱物の成分)がしみ込んで、もともとの骨の成分(リン酸カルシウム)と置き換わって「石」に変わったもの。まさに、「石に化けた」ものなのです。どこをどうして石に変わるのか詳しいことはよくわかっていませんが、石になったとしても、もともとあった骨や殻の内部構造はそのまま残っています。
ちなみに石化していないと化石とは言いません。環境条件にもよりますが、石になるにはそれなりの長い時間がかかり、1万年くらい前のものでないと、化石とは呼びづらいのです。
珪化木
めのうという石に置き換わった木の化石(断面)。
化石になっても、年輪がちゃんと見える。
カセキはキセキの宝物
今まで生きていた生き物全てが化石になって残るわけではありません。生き物の死骸は、ほとんどの場合他の動物に食べられたり、腐ってなくなってしまいます。そうなる前に、洪水などによってたまたま地面の中に埋まったものだけが化石になる「権利」を得ます。先ほどもお話したように、地中奥深くに長い期間埋まっていないと石に変わりません。多くの場合、その長い間に、地下水が流れてきたり、地殻変動による圧力や熱などで壊れたり溶けたりしてなくなってしまいます。もし無事化石になれたとしても、何もなければそのままずっと地中に埋まったままです。上にのっかっている堆積物が削られるか、断層や褶曲で地表近くに出てこない限り、見つけてもらえるチャンスさえもないわけです。さらに運よくチャンスが巡ってきたとしても、誰にも見つけてもらえなければ、今度は風化という作用(太陽の光や熱、風雨にさらされて分解されること)によって化石は壊れてなくなってしまいます。
つまり私たちが目にしている化石は、死んだあと直ぐ「運よく地中に埋まり」、「運よく地下水や地殻変動にも会わず無事化石になり」、その後「運よく地表に現れ」、「風化されてなくなる前に運よく人に発見された」、千載一遇の奇跡の結晶なのです。
私たちは成羽の植物化石を見るたびに、その実感を日々かみしめています。
第2回は、引き続き化石とは何か?についてさらに詳しくお話したいと思います。それではまた!
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感動することでしょう。…