今まで3回にわたって「化石ってなんなの?」というお話をしてきましたが、今回は成羽地域からもたくさん産出する、植物化石のお話をしようと思います。
そもそも植物は、動物の骨や殻など硬いものに比べると腐ってなくなりやすいため、化石として残りにくい生き物といえます。みなさんも、葉っぱや草が早く分解されてしまうことは、日常の経験からもご存知のことと思います。
ではどうして化石になるのか。その理由は大きく2つあります。1つは量が多いから。
動物に比べると植物の遺骸の量は半端ありません。例えば洪水で森が流されたとき、土砂の中には大量の木々、葉っぱが含まれます。腐ってなくなりやすいとはいえ、一部は残り、一部だとしても、その量は動物に比べれば、非常に多くなるということです。
もう1つの理由は、植物が埋まった場所が、例えば湖の底などで低酸素だったりすると、腐らずに残りやすくなることがあるからです。つまり、腐りにくい環境に堆積すれば、植物も化石になるのです。
植物化石を産出する地層は世界各地にたくさんあり、年代もさまざまあります。例えば、「石炭」。石炭とは、地中に残った植物の遺骸が、熱と圧力を受けることによって炭素が凝集し、燃焼しやすい岩石へと変わったものです。石炭のことを化石燃料とも呼ぶのはそのためです(石油、天然ガスも化石燃料です)。地質時代の「石炭紀(3億6000万年前~3億年前)」は、この時代に大繁栄した森林が石炭層となって、西ヨーロッパ、ロシア、北米に広く分布していることから名づけられました(具体的にはイギリスの石炭層が由来)。
成羽の化石は三畳紀という時代の地層から産出し、石炭紀よりはずっと新しい時代(といっても2億3000万年前)のものです。石炭化はしていませんが、当時の豊かな森の植物たちが化石となって成羽の地に残っているのです。
湖の底の酸素の少ない泥の中に埋まった葉の化石。
中心がモクレン、左上がシデ(中新世、神戸市産)
黒い石炭層の中の植物化石(多くはシダ類)。
洪水などで森林の木々がいっきに堆積したため、
たくさんの葉が折り重なるよう化石になって残っている。
(石炭紀、アメリカ産)
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