なぜならこの問いの中には、1.化石はどこに埋まっているのか? 2.どうやってその地層があるのかわかるのか? 3.どのような方法で化石を見つけるのか? 4.どうやって化石かそうじゃないかわかるのか?などなど、たくさんの疑問が隠れているからです。今後のコラムで、それぞれの疑問に順をおってご説明していきたいと思います。今回は1についてお話しましょう。
1. 化石はどこに埋まっているの?
化石は「堆積岩」の中にある
地層というのは、古い時代に積み重なった砂や泥が固まってできた岩石の層のこと。その由来は、大きくわけて2種類あります。1つは火山性のもの。火山の噴火によって噴出した溶岩や火山灰などが冷えて固まったり、マグマが地下深くでゆっくり冷えて固まったりすることで生成される岩石(火成岩といいます)です。このような岩石がつくられる過程では生き物は関与していないので、化石が見つかることはありません。
もう1つは、「堆積」によるもの。元は岩だったものが風化によって砂や泥になり、それが堆積し、圧縮されて再び岩石になったものです。これを堆積岩といいます。堆積岩がつくられる過程、つまり砂や泥が堆積するときに、その時代にいた生物の遺骸が一緒に積もることがあり、これが化石の元となります。堆積岩でなければ化石が見つからないのはそのためです。
写真:ドイツ・バイエルン 玄武岩(火成岩の1種)の地層。
このような地層に化石は含まれない。
堆積岩の「地層」はふだん見ている地面ではありません
私たちがふだん見ている地面(アスファルトではない)は、基本的に「地層」ではありません。砂や泥と、植物や動物の遺体、排泄物とそれが分解したものとがまじりあった「土壌(どじょう)」という土です(そもそも自然に積もった土砂ではない可能性も)。土壌自体は今つくられ続けているものなので、ここを掘っても化石は見つかりません。化石を見つけるには、堆積岩の地層を掘らなければならないのです。
「化石がある場所」と「化石を見つけやすい場所」とは違う
さまざまな時代の堆積岩は、世界中いたるところに分布しています。海底にもありますし、山の中にもあります。世界最高峰のエベレストの山頂付近からアンモナイトが見つかることは大変有名ですよね。これはエベレストが海底でできた堆積岩が隆起してできているからです。しかし、化石を発掘するのにエベレストまで登山するのはとても大変です。
一方、化石は、地下何㎞にもなるほどの、奥深くにも存在するはずです。しかしそこまで掘るのは大変なコストがかかりますし、しかも掘ったその先に確実に化石があるかどうかもわかりません。
つまり、堆積岩があれば海の中だろうが、山の中だろうが、化石がある可能性はあるのですが、コスト的にとても見合わないので、化石を研究するには「化石を見つけやすい場所」を探す必要があるのです。
化石が見つけやすい場所とは、化石を含んだ地層が地表面に露出しているところです。大陸では、地層が露出した砂漠やバッドランド(岩石砂漠)が何㎞、何十㎞にもわたって広がっている場所があり、そこでは化石を探し放題です。残念ながら日本ではそのような場所はなく、常に水が土壌を洗い流してくれる川の両岸や川底、もしくは川岸や海岸に流れついた岩石、あるいは道路工事などで山の斜面を削ったりしてできた地層の露出面など限られた場所を探すことになります。
写真:アメリカ・ザイオン国立公園
約2億5000万年~1億5000万年前の堆積岩層が露出しており、爬虫類化石や恐竜の足跡化石が見つかっています。
当館がある成羽地域の植物化石のある地層もほとんどは植生と土壌で覆われていて、見えるのは崖で露出している場所だけです。もちろん、日本でもたくさんの化石が見つかっていますが、これらは昔から地質学者やアマチュア研究家が一生懸命地層の調査をしてきた結果でもあるのです。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。