今回は、「化石ってどうやって見つけるの?」の3つ目の疑問、「化石は、どのような方法で見つけるの?」にお答えしようと思います。
前回、化石がある場所を地質図であたりをつけるというお話をしましたが、では、実際現地に行ったとき、具体的にどのような方法で化石を探し当てればよいのでしょうか。
IT技術が進んだこの時代、きっと魚群探知機のようなものがあるに違いない、と考える人もいるでしょう。ナビゲーションシステムだってきっと化石探しに役立つのでは、とも思えます。
しかし、意外かもしれませんが、実際に研究者が行っている方法はアナログもアナログ、「ただひたすら地層を見ながら歩く」です。
その理由は、、
1.化石と岩石は区別がつきにくい
かつてレーダー探知機を使って探そうと試みた化石ハンターもいました。レーダー探知機とは、電磁波を地面にあてて、物体からはね返ってくる波の有無や強弱、時間によって地面の中の様子を探ろうというものです。
しかし、化石はもともと生物の骨や殻が岩石にかわったもの。周囲の岩盤や、地中に埋まっているふつうの石や岩とも区別つきにくいため、あまり利用されなくなりました。ただ、最新のレーダー装置を使って、地中の足跡化石を調査する研究が最近発表されています。
2.作業効率が悪い
レーダーなどの探知機を地面にあてて化石の反射を見るには、それなりの時間がかかります。1分間に十数メートルしか進まない、なんていうことも。直接目で見て探したほうがよっぽど早いのです。
3.そもそも、あまり深いところに埋まっている化石を探さない
化石は深いところに埋まってもいますが、見てもわかりませんし、たとえ見つかったとしても掘り出すことが大変なため、基本的には地面に近い場所に埋まっている化石を探します。ただし、化石は地面から露出したとたん、雨や太陽の熱にさらされて風化が始まってしまいます。地面から露出して、時間がたっていない、新鮮な化石を探すことが大切です。
とはいえ、日本のように地層の露出が少ない場所では、図のように切り立った崖(つまり、地層の断面)で化石が見つかることがよくあります。これが大型の化石であれば、奥に相当掘り進まないと取り出せないため、発掘作業は長期におよびます。
このような理由で、研究者は、化石を見つけるために来る日も来る日も現場を歩き回っています。何日も見つからないこともあれば、トイレに立ち寄ったそのついでに見つかることも。
化石の発見は、気力、体力、観察力、そして時の運もあるのです。
アメリカ・サウスダコタ州の国立公園。漸新世のほ乳類化石が見つかる。
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