今回は、化石そのもののお話ではなくて、お客様の問い合わせ回数No.1(自分調べ)のご質問についてお話したいと思います。
そのご質問とは、「うちの子、化石が大好きで将来は化石を掘る人(研究する人)になりたいと言ってるんですが、どうすればなれるんですか?」というような、進路にまつわる内容です。
そもそも、化石について学ぶにはどんな学校に行けばよいのでしょうか。化石の学問ってどの分野に含まれるのでしょうか。
端的にいいますと、化石は理系の分野です。これ、誤解されている方も多いのですが、化石は「地面から発掘される昔のもの」であるために、考古学、つまり文系の分野だと考えていらっしゃる方が意外と多いのです。でも実際はちがいます。基本的に人類が文明をもたない時代より前のことは、理系分野で研究されます。
化石で扱う中にはもちろん人類の化石も含まれますが、それは文化や文明といったことよりも進化学、生物学的な要素が強くなるため、化石人類も含めて化石全般は理系、中でも「地質学」、その中でも「古生物学」という学問で主に取り扱っています。
悲しいことに地質学は、理系のなかで決してメジャーな分野ではありません。思い出してみてください。みなさん、中学で化石のことを詳しく習ったでしょうか。高校でも、地学(地学とは、地質学が含まれる総合的に地球のことを学ぶ学問)を専攻する人は、ほとんどいなかったのではないでしょうか。
そんなわけで、化石の研究(発掘)を仕事にしたいと思っても日本で学べる大学は物理学や化学、生物学などに比べると決して多くありません。特に、お子さんが化石の研究をしたいと思うきっかけとなるような、ほ乳類や恐竜類など大型化石にいたっては、選択肢がもっと狭くなります。
そのうえ、研究者になるには、基本的に大学院の博士課程を修了して「博士号」を持つことが一般的なコースで、9年も学生生活をおくったあげく、古生物分野の研究者は物理や化学の研究とはちがって、企業に職がありません。なので研究者として生業を立てていこうとしたら、大学・大学院または大学付属研究所の教員や研究者になるか、博物館の学芸員になるか、しかほぼ道がないのが現状です。
日本では恐竜やほ乳類化石が潤沢には見つからないため、日本でそれらの研究を行うチャンスは少ないです。そこで、研究が盛んなアメリカやヨーロッパの大学や大学院へ留学(または進学)し、そのまま現地で就職する人もいますし、日本に帰ってきて就職する人も多くいます。
と、ここまで難しい面ばかり強調してしまいましたが、化石の研究は進化学にとってなくてはならない研究ですし、地球の歴史を解明するやりがいのある分野でもあります。ぜひ子どもたちにチャレンジしてもらいたいと思っています。
ところで、化石の研究者になるのはちょっと、、、とためらう人もいらっしゃるかと。実は化石に密接に関われる職業が、もう1つあるんです。それは、プレパレーターという職業です。
「プレパレーター」ってなんなのでしょう。これについては、次回お話させていただきます。お楽しみに!